中村
 ネココロナウイルス感染症ワクチンに関する論文。
 ネココロナウイルス感染症では、ADE(抗体依存生感染増強作用)の問題が大きい。これは抗体と結合したウイルスが細胞に感染すると、抗体と細胞のFcレセプターが結合し、感染を増強してしまうものであり、このせいでFIPワクチンの開発は困難となっている。
 そこで、FIPグループ特異的部分を欠損させたウイルスを開発し、特性を観察したところ、ウイルスの増殖環には影響を与えず弱毒化した株を得た。ADEも起こらず、ワクチン開発の手段としての有効性が見い出された。

宮澤
 昆虫レトロウイルスのエラチウイルスと、バキュロウイルスとオルソミクソウイルスとの関係についての論文。
 エンベロープ蛋白質のGP64とLD130の使用能に着目すると、バキュロウイルスは、かつてはLD130を使っていたが、オルソミクソウイルス由来のGP64を使用できるようになったようで、それをエラチウイルスが運んだようである。
 これは、エラチウイルスが増殖戦略として、バキュロウイルスに包まれて運ばれることやゲノムやレトロトランスポゾンに入って運ばれるという経路をとっていることを示唆する。

 
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