山岸
 線虫の蛋白質間の相互作用の網羅的解析(interactome)の論文。
 ゲノム、プロテオームの次はインタラクトームということだそうで。酵母で進んでいるinteractomeを、線虫で部分的に行った。線虫は最も小さい多細胞生物であり、しばしば多細胞生物モデルとして使用される。
 線虫の2000個の蛋白質間の相互作用を、酵母ツーハイブリッド法でスクリーニングし、GST pull down法で確認した。合計5534の相互作用を図示すると、そのネットワークはスケールフリー型という特徴を示した。また、酵母で得られている結果を支持するような蛋白質相互作用の特徴も確認された。

望月
 非分裂細胞への感染には、カプシドが重要であることを確認した論文。
 HIV-1などのレンチウイルスは非分裂細胞に感染可能だが、他のレトロウイルス(MLVなど)は感染不可能である。この差に大きく関与する因子として、カプシドを仮定し、HIV型のgag遺伝子を持たせたMLVを作成し、非分裂細胞への感染を試みた。
 その結果、ミュータントMLVは感染が容易化し、カプシドの重要性が明らかになった。これは、preintergration complex(PIC)の核輸送に関連すると考察される。
 ただ、本当にそんなミュータントが作れるのかよという疑念があるそうで。