中満
 牛プリオン遺伝子の多型とBSEの感受性を示した論文。
 プリオン遺伝子の多型とプリオン病の関連性はヒツジやヒトで明らかにされており、それはアミノ酸変異が3次元構造に影響することによると推定されている。ウシのプリオン遺伝子に関しては、多型部位が極端に少なく、家畜化されたウシのORF内にはアミノ酸変異を起こす多型部位さえ存在しない。本論文では、ORF外の欠損変異がBSE発生率に影響しているということを初めて示した。
 プリオン遺伝子の多型調査をした結果、ORF内外にいくつかの多型を同定した。そのうち4つが欠損/挿入多型で、それらの有無とBSE感染を比較すると、一番上流の部位に関しては、BSE罹患牛の方が統計的に有意に欠損を有していた。
 しかし、これらが何らかの機構を持って感受性を高めているのかは不明である。
 (ただ単に同じようなブリーディングをされたものが同じ群で同じ餌を食べたのかもしれない)

草原
 異種移植におけるPERVと免疫応答を調べた論文。
 内皮細胞は異種移植の後に活性化することが知られており、活性化することでPERVの発現と放出が強まれば、それは感染のリスクを高めることになる。本論文では、ブタ大動脈内皮細胞(PAE)とPAEにヒト補体制御因子をトランスジェニックした細胞(TPAE)を用い、これらの細胞をサイトカインで活性化することなどでの挙動を観察した。
 結果、内皮細胞が(サイトカイン処理により)活性化するとウイルス粒子の放出は上昇したが、それは感染価を上昇させるものではなかった。